転倒時のリスクを軽減する適切な素材の選択を
サーキットでのスポーツ走行では、万が一の転倒時に体を確実に保護するための素材や装備選びが非常に重要になります。基本的には、耐摩耗性と引き裂き強度に優れた牛革製のレーシングスーツを選んでください。
一般的なツーリングで使用するようなナイロンやメッシュ素材のウェアは、路面との摩擦熱で溶けたり破れたりする危険性が高いため、サーキットでは絶対に使用できません。初心者は厚みのある強固な牛革製を選ぶのが無難でしょう。肩や肘、膝などの関節部分に硬質プロテクターが内蔵されているかの確認に加え、近年は安全基準の高まりから、着用型エアバッグに対応したモデルを選ぶことが強く推奨されています。
エアバッグ内蔵型や展開スペースを確保したスーツを選び、重大な事故から確実に身を守るようにしてください。
スポーツ走行における正確な操作を妨げないサイズの確認を
レーシングスーツは、普段着ている洋服とはまったく異なるサイズ選びが要求されます。直立した状態でぴったり合うサイズではなく、バイクに跨って前傾姿勢をとった際に最も動きやすくなるように立体裁断されているためです。
したがって、直立時には背中やお尻周りに多少の余裕があり、胸部や腕周りが少し窮屈に感じる程度のサイズが適正となります。サイズが大きすぎると、転倒時に内蔵されたプロテクターがずれてしまい、本来の保護性能を発揮できません。逆に小さすぎると、血流が圧迫されて長時間のスポーツ走行で疲労が蓄積しやすくなり、手足の可動域が制限されて正確なブレーキやクラッチ操作に支障をきたします。
自分の体型にしっかりと密着し、かつ関節の動きを妨げないジャストサイズを見つけることが不可欠です。
購入前の実店舗での試着とライディングフォームの再現が必須
レーシングスーツを購入する際は、通信販売などで済ませず、必ず実店舗に足を運んで試着を行うようにしてください。メーカーやモデルによって独自の型紙が使用されているため、同じ表記のサイズであっても実際の着用感はまったく異なります。試着の際は、普段スポーツ走行で使用しているインナーウェアを持参し、それを着た状態でスーツに袖を通すことが重要です。
さらに、店舗に展示されているバイクに実際に跨らせてもらい、自分が乗るバイクに近い深い前傾姿勢や、コーナーリング時のハングオフの姿勢を再現してみましょう。その状態で首周りの圧迫感がないか、手首や足首の丈が短すぎないか、膝の曲げ伸ばしがスムーズに行えるかを目視と感覚の両面で厳密に確認し、妥協のない一着を選ぶようにしてください。