スポーツ走行においてブレーキフルードが果たす役割の理解を
ブレーキフルードは、ブレーキペダルやレバーの操作力をキャリパーへ油圧として伝達する極めて重要な役割を担っています。スポーツ走行では、街乗りとは比較にならないほどのハードブレーキングを何度も繰り返すことになります。
その結果、ブレーキパッドとディスクローターの間に激しい摩擦熱が発生し、その熱がキャリパーを通じてブレーキフルードへと直接伝わります。フルードの温度が沸点を超えると、配管内に気泡が発生するベーパーロック現象が起こり、ブレーキがまったく効かなくなるという致命的な事態を招きかねません。サーキットという過酷な環境下で安全にスポーツ走行を楽しむためには、沸点の高い競技用のブレーキフルードを使用し、油圧伝達という本来の役割を確実に維持できる状態を常に保つようにしてください。
サーキット走行に応じた適切な交換目安の把握が必須
ブレーキフルードは吸湿性が非常に高く、大気中の水分を徐々に吸収して劣化していく性質を持っています。水分を含んだフルードは沸点が著しく低下するため、スポーツ走行でのベーパーロック現象を誘発する最大の原因となります。
街乗りのみであれば車検ごとの交換でも問題ない場合がありますが、サーキットでのスポーツ走行を前提とするならば、最低でも半年に一回、あるいは走行会に三回程度参加するごとの交換を目安にするようにしましょう。
また、フルードの色が透明から茶色や黒っぽく変色している場合は、期間に関わらず速やかに交換する必要があります。走行前には必ずリザーバータンクを目視で確認し、液量が適正範囲にあるか、著しい汚れや濁りが発生していないかを毎回必ずチェックする習慣をつけておいてください。
安全を確保するための確実なメンテナンス手順の実践を
ブレーキフルードの交換は、ブレーキの効きに直結する重要なメンテナンスであるため、確実な手順で行う必要があります。
まず、リザーバータンク内の古いフルードをスポイト等で抜き取り、新しいフルードを補充します。その後、各キャリパーのブリーダープラグに透明なホースを接続し、ブレーキペダルやレバーを操作して古いフルードと配管内の空気を同時に排出していきます。このエア抜きの作業が不十分だと、ブレーキのタッチがスポンジ状になり本来の制動力を発揮できなくなるため、気泡が完全に出なくなるまで慎重に作業を繰り返すようにしてください。
少しでも作業に不安を感じる場合は、無理に自分で行おうとせず、プロのメカニックがいるチューニングショップに作業を依頼して、確実な安全を担保するようにしましょう。